セリョーガは、かつて労働災害で負った怪我のせいで、右手の親指と人差し指が曲がらなくなっていた。しかも、人差し指は左側に約130度も向いたままだった。怪我から10年が経ち、彼はその特徴に慣れ、日常生活で特に不自由を感じることはなかった。しかし、それ以来、鳶職として働くことはできなくなった。口うるさく不機嫌な妻と、養わなければならない3人の子供がいたこと、そして何より、グラインダーに対する恐怖が一生消えなかったことも理由だった(切断砥石が自分の骨に触れた時の音は、永遠に、そして強烈に彼の頭にこびりついており、今でも思い出すだけで肉体的な痛みを感じるほどだった)。そのため、彼は玉掛け作業員に転向せざるを得なかった。この仕事なら手先の器用さはそれほど必要なく、休憩時間には同僚たちに、あの恐ろしい瞬間の話をよく聞かせていた。
しかし、今回の話はあの昔の事故のことではない。それは、フランツ・ヨセフ諸島のある島で軍事施設を建設していた時のことだ。その地域は、北極海の冷たい水とぶつかり合うメキシコ湾流の影響で天候が非常に不安定で、お茶を一杯飲み干すほどの速さで急変する。一口目を飲む時は晴天でも、飲み終える頃には視界を遮る吹雪になっていることもある。砕氷船から荷揚げされた建材は、一時保管場所に集められ、そこから必要に応じて建設現場へと運ばれていた。ある吹雪の後、梁を回収しに行くことになったが、道路の除雪がまだ済んでおらず、交代したばかりの新しい運転手は道を知らなかった。そこで、案内役として我らが主人公、セリョーガが同行することになった。
いつもの癖で、車を走らせながらセリョーガは新しい知人である運転手に、グラインダーで不自由になった自分の手の話をひとしきり聞かせた。そして、目的の曲がり角に差し掛かった時、セリョーガは指を立てて右折を示した。しかし、運転手の目には当然、指が左を指しているように見えた。彼は迷わず、指が示していた方向、つまり左へとハンドルを切った。
割れたフロントガラスからキャビンを脱出した二人は、互いに罵り合いながら、谷底から道路へと這い上がった。
「俺がどこを指してるか見えないのかよ?!」
「見えないのか、だと?! お前のその『ピストル』はどこを狙ってたんだよ?!」